技術コラムCOLUMN
異なる金属を貼り合わせた複合材「クラッド材」その構造や製法とは?
クラッド材はクラッドメタルとも呼ばれます。
異なる特性の金属を貼り合わせ複合材にすることにより、単一素材では得られない特性を得ることが可能です。こちらでは、電気接点用材料として使用されている貴金属クラッド複合材の構造や製法についてご紹介します。
●金属(メタル)を結合して造られたクラッド材の構造とは?
クラッド材は異なる金属同士を、高温下で強力な圧力を加え貼り合わせます。
この為、金属同士は金属結合され強固な結合が得られます。
貴金属クラッド複合材については貴金属が高価な為、必要な範囲にクラッドしコストを抑制する事が可能です。光栄で製造している主なクラッド種類は以下のパターンとなります。
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オーバーレイクラッド
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インレイクラッド
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ダブルインレイクラッド
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エッジレイクラッド
ベースとなる素材は主に純銅やリン青銅・黄銅などの伸銅品が使用されます。貴金属は金・銀及び金銀合金が使用されています。
クラッド材では、貼り合わせる貴金属の厚みを自由に設計ができ、一般的なメッキでは対応できない厚い貴金属層を形成する事が可能です。
また純金や純銀のクラッド材は接点として長時間使用すると摩耗により損耗する為、金合金や銀合金とし貼り合わせることもあります。合金化する事により、金・銀の特性を維持しつつ耐摩耗性を向上させ長期間安定した特性を維持する事が可能です。
貴金属クラッド材の他にもニッケルやアルミなどを組み合わせたクラッド材も製造可能です。
●クラッド材の密着力をアップさせるクラッド材の製法
クラッド材の製造方法についてご紹介いたします。
光栄では貼り合わせたい二種類以上の金属(合金)を以下の工程で張り合わせ製品とします。
- 1.貼り合わせたい素材の表面を清浄化します。
貼り合わせたい面に不働態膜が形成されていると密着不良が生じます。 - 2.素材同士を貼り合わせます。
張り合わせは、素材を加熱した上強力な圧力を加え貼り合わせます。 - 3.熱処理を行います。
熱処理により更に結合層を拡散させ、より強固な結合層を形成させます。 - 4.仕様に合致した寸法へ加工する。
所定の寸法に圧延を行い加工します。
圧延と焼鈍を繰り返し行うことにより0.1mm未満のクラッド複合材を製造する事も可能です。
ご要求に対応する為、設計から製造まで一貫して行っています。
●金属同士を結合して製造するクラッド材も株式会社光栄へ
今回は電気接点用クラッド材のご紹介をいたしました。
クラッドの組み合わせは多岐にわたりますので、ご希望の組み合わせや特性等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。