技術コラムCOLUMN
「クラッド材」は何に使われている?導入事例のご紹介
複数の金属を貼り合わせたクラッド材は、どういった用途に使われているのでしょうか?こちらでは、ほんの一例をご紹介いたします。
●メッキとクラッドの違い
一般的に電気接点用材料は伸銅品に金や銀をメッキしたメッキ素材が幅広く使用されていますが、メッキ厚には制約があり厚くメッキするにも限りがあります。これに対しクラッド材は、クラッドする各金属の比率を変え貼り合わせることにより、容易に厚い皮膜を形成した複合材を作り出すことが可能です。
また、クラッド材は貼り合わせる各金属を合金化することにより単一金属では得られない特性を得ることも可能です。例えば金に銀を加えた金銀合金にすることで、電気的特性を維持しつつ金メッキでは得られない耐摩耗性を得ることが可能です。
●クラッド貴金属の導入事例~電気接点用素材~
貴金属をクラッドした複合素材は、主に電気接点用素材に使用されています。クラッド材はメッキのように剥がれることがなく、貴金属の厚みを出すことが可能です。複数の金属を合金化することで、電気的特性や熱的特性、機械的特性、耐摩耗性など、単一金属では得られない機能を作り出します。
現在、高級一眼レフカメラのジョイント部や車載向け接点材にクラッド材が使用されることが多く、製品のクオリティを高めることに大きく貢献しております。
その他、あらゆる電気接点用素材にクラッド材が使用されています。スイッチやモーター製品、抵抗器、火災報知器接点などにもクラッド材が使われています。電気接点は電気回路を開閉させる重要な役割があり、クラッド材を使用することで性能の向上が図れます。
●クラッド貴金属の導入事例~リベット接点~
クラッド材はコストパフォーマンスが優れていますが、金や銀などの貴金属を使用すると、一般的なクラッド材よりも値段が高くなります。クラッドリベット接点は貴金属と銅を結合することで作られ、銅を使用することで高価な貴金属の使用を最小限に抑えることが可能です。
これによりコストダウンが図れ、手軽に購入できるようになっています。クラッドリベット接点は、電子機器や自動車部品など広範な工業製品に使用されています。
●貴金属クラッドの導入事例~光学フレームなど~
光学フレームにも貴金属クラッドの複合材料が使用されることがあります。貴金属クラッドは密着性や強度を有しており、高価な光学フレームに適した素材です。
光学フレームにはチタンクラッド材が使用されることもあり、チタンの優れた耐食性を利用しつつコストの低減が図れます。
貴金属クラッドは点火プラグやモーター、マイクロモータブラシなど、いろいろな工業製品で使われています。
-
様々な製品の品質向上に役立っている貴金属クラッド材。加工依頼や購入に関しては、金属箔加工やスリット、熱処理といった各種加工を行う株式会社光栄までお問い合わせください。